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2016.12.28 「モーセの働きと神の顧み」 出エジプト記2:11-25

1  モーセのアイデンティティ

 エジプトの王宮で育ち、エジプト人と同じ立場で育てられたモーセですが、成人する頃になり自分を見つめる中で、自分はイスラエル人であるという思いを強く持つようになったのでしょう。モーセは自分を「イスラエル人」と結論づけたのです。

 しかし、周りが見るモーセは違うものでした。モーセは「同朋」と考えるイスラエル人に受け入れられなかったのです。モーセは自分をイスラエル人と考えながらも、イスラエル人には同朋と認められず、ミディアンの娘たちにはエジプト人とみなされました。

 

2 エジプト人を打ち殺した モーセ

 モーセは、エジプト人がイスラエル人を「打っている」のを見たのです。エジプト人の行為は「打ち殺した」とも訳すことができる言葉です。エジプト人はイスラエル人が増えることを恐れたのです。そしてイスラエル人に対して暴力、虐待を行ったのです。そのようなエジプト人をモーセは打ち殺したのでした。この時のモーセの行いは「周りを見回し、誰もいないのを確かめて」からの行為であり、突発的に起こった感情に任せた行為ではないのです。

 

3 モーセの働き

 モーセは、エジプトでは、イスラエル人を打つエジプト人を打ち殺し、ここではレウエルの娘たちを羊飼いから助け出すのです。モーセの行った行為は、強者に虐げられている弱者を助け出す行為でした。しかしこのモーセの「打ち殺した」という行為を肯定することはできません。このモーセの正義は不完全な正義なのです。人間の正しさは不完全なものなのです。本当の正義、正しさを歩かれたのは、イエス・キリストだけです。

 

4 顧みられた 希望

 それから長い年月が経ちました。そしてエジプトの王は死んだのです。ここに話としての一区切りがあります。そして、イスラエルの叫びが神様に届く時がくるのです。神様は、その思いをイスラエルに向けられたのです。イスラエルの叫びを積極的に聞き入れられたのです。これは大きな希望ではないでしょうか。今、困難の中に生きている者にとって、未来に光があると教えているのです。神様は必ず顧みてくださる。これは大きな希望なのです。(笠井元)