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2015.4.12 「被造世界の呻きに共鳴して」 ローマの信徒への手紙8:18-25

 先週の日曜日はイースターでした。今朝は、復活の希望が、私たちの日常生活に直結していることを知るために、ちょっと変わった聖書の個所を選びました。


1.被造物は、呻き、苦しんでいる

 現在は、自然破壊、環境破壊が問題になっています。東日本大震災と津波による原子力発電の事故に直面しています。「被造物がすべて今日まで、共に呻き、共に産みの苦しみを味わっている」という言葉を私たちは、どのように聴くのでしょうか?本当に、私たちは被造物の呻き、嘆きを知っているのでしょうか?その呻きに心を向け、耳を傾けているでしょうか?


2.神の子たちの出現を待ち望んでいる

 「被造物は、神の子たちの現われるのを切に待ち望んでいる。」被造物の呻き、苦しみは、人間の罪の問題、自己中心性、便利さ、経済効率を至上価値とする人間の生き方と固く結びついているのです。人は神によって、この自然世界を護るように造られているのに、その肝心の人間たちがどうも「神の子」らしく生きていないので、それが被造世界全体を歪めているのです。


3.現在の苦しみと将来の栄光

 パウロは、「現在の苦しみは、将来わたしたちに現されるはずの栄光に比べると、取るに足りないとわたしは思います。」確かに、健康を害したり、年をとって衰えたり、仕事が旨くいかなかったり、そのような悩み、苦しみに生きています。どこか他人と比べて自分を嘆き、悲しんでいるのです。自分を他の人と比べるのではなく、今の苦しみ、問題を将来神から与えられる栄光と喜びと比較してみなさいと勧められています。私たちは神から与えられる栄光・輝きへと運命づけられ、予定されているのです。


4.「霊の初穂」をいただいている私たち

 主イエスが十字架で殺されてすべてが終わったのであれば、結局、ローマ帝国の軍事力と政治力、そして、ユダヤ人の指導者たち、信仰熱心なファリサイ派や律法学者の教え、つまり、救われるのは信仰熱心で、律法を守れる優秀な人たちだけだという考え方が勝利したということになります。しかし、神は、神と隣人とを愛し抜かれたイエス・キリストをよみがえらせて勝利を与えられました。聖霊の力によってイエスを死から引き上げられた神は、その聖霊を初穂として私たちに下さっています。だからこそ、厳しい現実に直面しても、この世界から永遠の世界へと逃げ込みたくなるような時にも、私たちは、自分を含めた被造世界の呻きに共鳴しつつ、この世界と歴史に責任を持って生きぬく信仰と希望を与えられているのです。


5.体の贖われることを待ち望んでいます。

 からだとは、全体としての自分自身、関係に生きる私たちを意味しています。かの日、私たち人間性全体が、私たちの神との関係、隣人との関係、他の被造世界との関係が「あがなわれ」、変えられ、完成するのです。


6.忍耐して待ち望む

 私たちが復活を信じ、希望において生きることができないならば、それは自分で満足してしまっており、自分の本当の貧しさを知らないからです。呻き、悩み、苦しんでいる隣人や被造物世界に目を向け、それを我が事のように共感する連帯性に生きていないからです。あまりに簡単に絶望して、「諦めて」しまっているかなのです。主イエスの復活を喜び、私たちと被造世界の「輝き」の日が到来することを忍耐して待ち望みましょう。(松見 俊)