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2015.7.26 「隣人に目を向ける時」 マルコによる福音書12:28-34

1:  神を愛する

 ある律法学者がイエス様に「あらゆる掟のうちで、どれが第一でしょうか。」と尋ねました。イエス様は「第一に神を愛すること」そして「第二に隣人を愛すること」と教えられました。一番大切な掟は、イエス様には二つあり、またそれは二つで一つと言えるものなのです。二つの愛「神様を愛すること」と「隣人を愛すること」は切っても切り離せない一つの意味を持つことを表しているのです。

 この言葉は、旧約聖書の申命記からイエス様が引用した言葉でした。ユダヤの民でこの言葉を知らない者はなかったでしょう。この言葉は人間が、神様を神様とし、神様の愛を知り、神様に従うために、一番大切にされてきた言葉です。


2:  関心を向ける

 ある神学者は「信仰とはその関心を神様に向けること」と言いました。神様を愛することは神様に対して無関心であることから、神様に気づき、神様の愛を知ることから始まるのでしょう。そしてまた、この「関心」を隣の人に向けるとき、私たちは隣の人を愛するということに出会うのです。マザー・テレサの語った有名な言葉の一つに、「愛の反対は憎しみではなく、無関心です」という言葉があります。私たちの社会では無関心の心が広がっています。隣で苦しんでいる人がいても知らないことにする。そんな無関心という思いが広がっているのではないでしょうか。

 イエス様は今日の御言葉において、愛する二つ目の言葉として『隣人を自分のように愛しなさい。』と言われました。自分自身を愛するように・・・それは、私たちが持つ、自分の時間、自分の財産、そして自分の幸せを願う気持ちを、隣人に向けなさいと言われているのです。隣人のために時間をさき、隣人に関心を向け、隣人のために自分の財産を使い、隣人の幸せを願うということです。これが「隣人を自分のように愛する」ということです。


3:  愛された方

 イエス様は、私たちに言います。「神様を愛し」「隣人を愛しなさい」と。そしてその言葉を完全に実行された方、それがイエス・キリストご自身でありました。イエス・キリストは、自分の時間を私たちのために使い、自分の関心を私たちに向けてくださった。しかもキリストは、自分の命、人生のすべてを、私たちのために向け、私たちのことを思い、私たちのために生きたのです。


4:  一歩踏み出す時

 イエス様は律法学者に向かって「あなたは、神の国から遠くない」と言われました。この言葉は神の国を知り、理解しながらもいまだ入っていない、そんな状態を表した言葉です。それは、神様からの招待状を受け取ったが、返事を出していない。神様の愛を頭では理解はしたが、実際に自分のこととして受け取っていない。学びを終えたが、その道を歩き出すことのない、そんな状態のことです。

 わたしたちは今、どこに立っているでしょうか。私たちは、今、神様に目を向けてみましょう。その時に、私たちは愛されていることを知るでしょう。そして神様の溢れる愛を知るときに、私たちは愛することの恵みを知ることになるでしょう。今がその時、隣人を愛する時です。