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2016.5.15 「福音を故郷の言葉で」 (要約) 創世記11:1-9

 今朝は、ペンテコステ(聖霊降臨日)、つまり、この世界にキリスト教会が誕生した日をお祝いする礼拝です。使徒2章には、「すると一同は聖霊に満たされ、霊が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした」、「だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった」とあります。この出来事の正反対の出来事がいわゆるバベルの塔の物語です。

 

1.全地は同じ発音、同じ言葉であった

 物語は、「世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた」という文章で始まっています。いったい、これは何を意味しているのでしょうか?おかしなことではないでしょうか?10:5には「それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった」と言われているのですから。なにか訳があるのです。

 

2.統制・抑圧の言語

 ここでは、人の個性、他の国の歴史、それぞれの多様性を無理に統一、コントロールしようとする「言葉」が意味されています。軍隊では、上官の命令に「質問!」、とか「違う意見があります」などと言ったら叱られてしまいます。「世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた」という表現の背後には、効率的ではあっても、人をもののように扱う統制・抑圧社会への批判があるのです。

 

3.技術革新

 「れんがを作り、それをよく焼こう」「石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた」とあります。いわゆる「技術革新」です。しかし、それが行き過ぎると、同じ言葉で号令一下、労働に駆り立てられるわけですから、民は抑圧され、窒息され、あるいは過労死してしまう危険があります。

 

4.主なる神は降ってこられた

 統制・抑圧の言語を用い、技術革新で効率ばかりを追求し、高慢になり、人を傷つけ、自分を傷つける人の姿を、神はご覧になり、自ら降って来られたと語られています。それがペンテコステの出来事で成就します。

 

5.言葉が違うことの意味

 言葉が違うことは、私たちを他者の言葉を慎重に聴くように促します。実は、同じ日本語を話していても通じないということが多いのではないでしょうか。遠慮せず、自分の言葉でなるべく明瞭に語ること、また、他者の言葉をその人の言葉としてしっかり聴き、自分の感じ方、自分の経験で早とちりしない、一人ひとりを大切にする教会であったら素敵です。(松見 俊)