今日の箇所は父ヤコブの死によって引き起こされる、人間関係の変化についてみていきたいと思います。
1 父ヤコブの死
ヤコブが死んでいきました。人間の「死」は関わっていた、それぞれの人間に少なからずとも影響を与えるでしょう。特に、その者が人間的に偉大な者であったり、多くの者に尊敬されていて、権威ある者とされる者であればあるほど、その者の「死」はそのあとに生きる者たちに大きな影響を与えるでしょう。今日の箇所で起こっているのは、イスラエル民族の祖とも言える「イスラエル」「ヤコブ」の死です。この死は、残された者に大きな影響を与えます。
2 エジプト式葬儀
ヤコブの死後、ヨセフがとても盛大な葬儀を執り行いました。葬儀は、大勢のエジプトの者たちを引き連れた葬儀です。ヨセフがエジプトの宰相であることを知らしめた葬儀となったのです。この出来事は、ヨセフの支配力を示し、それが兄たちを不安にさせたのです。
3 これまでのヨセフの行動
兄たちの不安要素はまだまだありました。これまでのヨセフの対応です。ヨセフは兄たちが自分を売り飛ばしたことを忘れてはいません。また兄たちがエジプトに来たときには、「回し者だ」とシメオンを捕えました。ベニヤミンの袋に銀の杯が入っていたこともあります。ヨセフがその身を明かしてからも、兄たちよりも、弟ベニヤミンを優遇して、父ヤコブや弟ベニヤミンに会うことができることを喜んでいるように見ることができます。
4 兄たちとヨセフの関係性
そのような中で、兄たちは、人を介して、しかも父の権威を用いてヨセフに「赦してください」と伝えるのです。人を介し、父の権威をもって、ヨセフとの関係を保とうとしている兄たちの知恵がすべて悪いことでないように思えるのです。兄たちはヨセフとの関係がこれ以上壊れないように、父の権威まで使って関係を保とうとしているとも見ることができるのです。
5 兄たちの赦しの嘆願
兄たちは初めて自分たちの罪を認めて、ヨセフに赦してほしいと言います。兄たちはどのように裁かれるのか、気が気でなくなり、ついに罪を認め、赦しを願ったのです。ヨセフの涙は、間接的であろうとも、兄たちの「悔い改めの言葉」によるものであったのでしょう。
6 神の計画の実現
ヨセフは、これまでの出来事がすべて神様の計画の実現されるべき出来事であったと言います。そしてヨセフは「わたしが、あなたたちとあなたたちの子供を養いましょう。」と言うのです。つまり、神様の計画によって「わたしがあなたたちを養う」と。ここにヨセフの支配権、相続権が完全に認められたものとなったのです。兄たちは、ヨセフにひれ伏し、ヨセフはヤコブからの相続権を完全に手に入れていったのです。
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