今日から私達は待降節(アドヴェント)に入ります。待降節は、イエス・キリストのご降誕をお祝いするクリスマスに備える時であると共に、かつて人として生まれて下さったイエス・キリストが、再び私達のところに来て下さることに備える時でもあります。また、今日から12月4日までは世界バプテスト祈祷週間でもあります。インドネシアの野口日宇満・佳奈宣教師、カンボジアの嶋田和幸・薫宣教師、ルワンダの佐々木和之博士、シンガポールの伊藤世里江牧師は、言語や文化などが大きく異なる環境にあって葛藤やストレスを抱えることも多いと想像します。また、ビザの取得や政治体制の問題など、様々な制約の中で働きに従事されています。

　私達には、自分の置かれた場で、自分の限界の範囲の中で、主なる神のために精一杯努力することしか出来ません。しかし、そのような私達を用いて、主なる神はその御手をもって歴史を導かれます。「自分には大したことは出来ない」と思われるかも知れません。しかし、私達に今与えられているものは、偶然に与えられているわけではなく、主なる神から何らかの目的をもって与えられています。

　一方、イエス・キリストは、マタイによる福音書10章41節で「預言者を預言者として受け入れる人は、預言者と同じ報いを受け、正しい者を正しい者として受け入れる人は、正しい者と同じ報いを受ける」と言われました。私達自身はその働きに直接携わっていなくても、神の国と神の義の実現のために働いている人を助けることによって、その人と同じ報いに与ることが出来ます。逆に言えば、私達は、世界祈祷献金であれ、神学校献金であれ、或いは久山療育園や日本国際ギデオン協会、日本国際飢餓対策機構、日本キリスト教協議会などへの献金であれ、自分の教会に献げる10分の1献金とは別に献金を献げる時には、送り先がどのような活動を行っているのか、どのような考えを持っているのか、関心や注意を向ける必要があります。いずれにせよ、私達は、自分に与えられているものをもって神の国の前進のためになることを為すよう求められています。

　今日私達は、天使ガブリエルがマリアのところに来て、彼女が聖霊によってイエス・キリストを身ごもったことを告げる、いわゆる《受胎告知》の記事を読みました。主なる神は、イスラエルに約束された通り、御子イエス・キリストをこの世に送られました。その時、主なる神がご自分の御心を行うために選ばれたのは、貧しい大工ヨセフとその婚約者マリアでした。主なる神の御心を受け入れ、それに従う2人がいたからこそ、クリスマスは歴史的な現実となりました。今日はマリアに焦点を当てて、見ていきたいと思います。(柏本 隆宏）