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2017.5.10 「血の災い」 出エジプト記7:14-24

1. 2つの資料によるずれ

 ここでは二つの資料が用いられ一つ話を作っていると考えられています。一つの資料は14-18、20b-21a、23-24、もう一つの資料は19-20a、21b-22です。一つの資料からは、ナイル川が血に変えられ、魚は死に、エジプト人に影響を与え、このことから水を求めてナイル川の周りを掘ったと見ることができます。もう一つの資料は、エジプト全体にこの出来事が広がっていったことを強調します。二つ資料から強調されていることは、ナイル川が血に変えられたことの大きさ、魚は死に、それはエジプト全体に対する脅威であり、しかし、それでもファラオは頑なであったということを伝えているのです。

 

2. 神様の起こされること

 この血の災いについて・・・この世の科学的に考える時に、一つの理解の仕方として「ナイル川は洪水期の初めに水が増すのですが、そのときに多量の赤色の土を運ぶことがあり、水が不透明になること」がよくある現象であり、この出来事を今回「血の災い」としたと理解するという考えがあります。

 神様による奇跡がこの世的理解のうちにも実際にあることだろうと検証していくことは、聖書を理解するうえで大切な考え方の一つです。この世界は神様が造られたのです。だからこそ、神様の起こされる奇跡は、この世界の常識として起こり得るものであると知るのです。むしろ、この世の働きにおいて、私たち人間の知っていることがどれほど少ないかを教えられます。

 

3. ナイルの川辺を歩くファラオ

 神様は、モーセに「明朝、ファラオのところへ行きなさい。彼は水辺に下りて来る。」(15)と言われます。モーセはナイル川の岸辺に待つように言われたのでした。ファラオは神様の言葉通り、ナイル川にやってきました。この理由の一つに考えられるのは、ファラオがナイル川を、偉大な川、恵みの根源として崇拝し、日課としてここで特別な祭儀を行っていたということ考えられるのです。しかし、ファラオはナイル川を崇拝していたとしても、ナイル川を造られた方までは見ていなかったのです。

 

4: 私は主である

 今回の中心的言葉は7節「あなたは、わたしが主であることを知る」(7)です。神様はこの「血の災い」を通して、自らが「主」であることを知らしめるのです。神様は「わたしが主である」と教えます。それは、ただ災いを起こされる方ということではなく、ナイル川を含めた、この世界を造り、そして今も、この世界を愛し、そして、その愛は人間の思いをはるかに超えたものであるということです。「災い」は悲しみと絶望を与えているのではなく、神を知り、神を主人として生きること、それは本当の生きる意味、生きる喜びを教える「しるし」なのです。(笠井元)