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2018.8.12 「人知を超える神の平和」(要約) フィリピの信徒への手紙4:2-7

 8月は「平和」を覚える月です。先週も6日そして9日に73回目の原爆被爆記念日を迎えました。敵・味方の区別を超えて、戦争というものが人間に与える悲惨さ、そして、一人一人の苦しみの背後にはさらに多くの苦しみの物語があることを知らされます。聖書は、「あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」と言います。「神の平和」が私たちを守る、私たちを守るのは実は、「神の平和」なのです。

 

1.「喜び」と「寛容」(広い心)について

 フィリピ書が「喜びの書」と言われることは既に再三述べてきました。喜ぶことと並んで、「あなたがたの広い心が」「すべての人に」知られるようにと勧められます。人間的に、心理的に、私たちが生きる状況が辛く、苦しく、悲しいものであっても、信仰によって「喜び」が可能にされ、「広い心」で生きることができるし、「そうであれ」と勧められています。

 

2.主は「近い」

 「喜びなさい」と「広い心」を示しなさいという戒めは、主は「近い」という信仰的事実に基礎づけられています。「近い」は、距離的に「すぐそばに、傍らに」いるという「近く」なのか、終わりの時、救いの完成の時が「近づいている」という時間的な「近さ」なのか、たぶん、両方の意味が含まれているのでしょう。主イエスの再臨が遅い、将来など暗闇であろうということが私たちの実感であるとしても、主イエスは間もなく来られる、これが私たちの希望の根拠なのです。堪え性が破れそうになるとき、将来に希望をもてなくなるとき、主がこられ、救いを完成してくださる日はすぐ明日に迫っていることを信じたいものです。

 

3.思い煩うな

 さらに、「思い煩うのはやめなさい」(4:6)という勧めが続きます。しかも「どんなことでも」です。この勧めはマタイ6:34のイエス様の言葉を思い起させます。「配慮すること」「気かけること」は悪いことではありませんが、自分の中だけで、自分で解決しようとすることは問題なのです。さらに、私たちは、悲しみ、怒り、嘆きを抑圧してはいけません。自己憐憫ではなく、他者のことを考えてみると、自分は少し軽くなるのです。問題を押さえつけるのではなく、それに耐える力をいただくのです。

 

4.「神の平和」が護るであろう

 自分で自分を防衛するのではなく、神の平和が護って下さる。「打ち明けることのできるお方がいる」ことが慰めなのです。対話相手の神がいるのです。神に信頼していれば、祈ること、賛美すること、感謝することができます。私たちはどうであれ、心乱れていても、自分で自分を配慮するのではなく、神の平和が、キリスト・イエスにあって、わたしたちを「警護するであろう」。この神と神の警護に身を委ねましょう。(松見俊)