1 神様の指示 幕屋建設
幕屋建設のための神様による細かな指示。この細かな指示には大きな意味があるのです。(25章8節―9節)
幕屋建設は、神様が「このように造りなさい」と指示されたものです。その建設は細かなところ、それぞれの部分の材料から高さや広さ、長さ、そして服から、その礼拝の仕方、そしてお香や聖別の油まで、本当に細かく具体的に指示されているのです。この細かさから、すべてが神様からの指示であるということを示しているのです。神様は指示をした。そしてその指示にイスラエルは喜んで従った。ここに神様と人間の新しい関係の姿を見ることができるのです。
2 捕囚期に記されたという背景 「赦し」
25章からの出エジプト記は、捕囚期に記されたと考えらえています。イスラエルの民はまさにどん底にいたのです。この幕屋建設は、神様の指示があり、その中での裏切り(32章)、その裏切りが赦され、そして幕屋を造ったという、指示と約束を裏切ったイスラエルが赦され、もう一度神様の指示の中に生きることができるという希望のストーリーなのです。
3 神様の居場所の変更
この幕屋の建設には、神様の存在場所の変更が示されているのです。
これまで出エジプトにおいて民を導く神様の存在は、雲の柱と日の柱、また山の中における密雲の中などにおいて記されてきました。しかし、これから神様の居場所は、「幕屋」そして「掟の箱」に示されていくのです。(25章22節)
神様は山の中ではなく、この幕屋にこられるのです。そしてそれはイスラエルの民の中に、その生活の中まで来てくださったということのです。しかも、幕屋は民が移動すると同時に移動するのです。つまり神様はこの地にきてくださり、イスラエルの民と共に移動される方のなってくださったのです。この神様の隣在の移動は、新約におけるイエス・キリストを映し出しているのです。
4 幕屋と偶像礼拝
最後に、この幕屋建設と偶像礼拝について考えていきたいと思います。
偶像礼拝は、この後の「金の子牛」から見ることができます。金の子牛は、民が主導でとくに計画もなく、さっさと作り上げました。それに対して、幕屋は、まず第一に神様の主導で、また念入りに考えられ計画され、長期間で作られたのです。そのうえで、神様との壁があることによる神様の「聖さ」がある。神様は見ることができない、しかし共に移動し、動き、生きる方であるということです。
イスラエルの人々はこの神様の指示を喜んで受けとり、その指示に従いました。ここに神様とイスラエルの関係を見ることができるのです。幕屋を建設することで、神様と人間との関係が作られていくのです。(笠井元)