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2018.11.28 「金の子牛」  出エジプト記32:1-14

1 不安の中で踏み外した道 (1)

 モーセは山に登りました。40日40夜山にいたのです。イスラエルの民は指導者モーセの不在の状態に「不安」を抱いたのです。イスラエルの民は、もう一人の指導者アロンに訴えます。この訴えには問題がありました。「エジプトの国から我々を導き上った人」「モーセ」となっており、エジプト、奴隷の立場から導いた「神様」が忘れられているのです。

 イスラエルの民が道を踏み外したのは、指導者の不在という「不安」から始まっています。「不安」は「恐れ」を生みだしました。そして「不安」は「希望」を忘れさせるのです。不安を抱く者に対して、イエス様はマタイでこのように言われました。(マタイ6:33-34)

 

2 指導者の間違え 金の子牛を礼拝する(2-6)

 アロンは「あなたたちの妻、息子、娘らが着けている金の耳輪をはずし、わたしのところに持って来なさい。」(2)と間違った道を勧めていったのです。

 「金の耳輪」とは(出エジプト記11:1-2、12:35)にあるように、エジプトを出てくる時に集めて持ってきた、出エジプトの出来事を表すものの一つでもありました。アロンは、エジプトからの解放を象徴するものと言うことができる「金」をかき集めて「金の子牛」の像を造っていったのです。(3)「不安」の中で、エジプトからもってきた「金」に未来を委ねたのです。私たちは、自分の未来を何に委ねているでしょうか。

 

3 引き止めるな(7-10)

 神様は「人間の罪と過ちに対して、わたしは悲しみ怒る」と言われます。「金の子牛」は怒ることも、悲しむことも、共に喜ぶことも、苦しむこともないのです。神様はモーセに「今は、この怒りを、引き止めないでくれ」と言います。この言葉は、むしろ「どうにか、この怒りをとめてくれ」と言っているようにも聞こえるのです。

 

4 執り成し(11-14)

 神様が「引き止めるな」と言われたにもかかわらず、モーセは神様を引き止めます。私たちはこのような執り成し、祈りをすることができるでしょうか。神様の御心を変えさせる執り成しです。

 モーセの祈りは、もちろんイスラエルの救いのためです。同時に、この祈りは神様のためともいえるのではないでしょうか。神様はこのモーセの祈りを通して思い直されたのです。人間モーセの執り成しの祈りは、神様の心を変えたのです。

 

5 対話

 神様はモーセに「引き止めるな」と言います。ここに「引き止めるな」という神様と、「引き止める」モーセとの対話、関係を見ることができるのです。「金の子牛」には、このような関係が作られることはないでしょう。神様とモーセのように、私たちには神様と意見を交換しながら、関係を築きあげていくことが許されているのです。神様と人間の関係には、対話するということが与えられているのです。(笠井元)