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2018.12.9 「平和の神が共におられるようにる」(要約)  フィリピの信徒への手紙4:8-9

 人は手紙であれ、お話であれ、最後に何を語るのでしょうか?人が「終わりに」と言えば聴き手は緊張して次の言葉を待つことでしょう。

1.「終わりに」

 8節で、パウロは「終わりに」と言います。実は、同じ言葉が3:1に登場しますので、最近の研究者は、フィリピの手紙は、1:1~3:1までが手紙A、3:2~4:1までが手紙B、4:2~23を手紙Cと解釈し、現在のフィリピ書が3通の手紙からなっていると考えています。それはともかく、4:8は「終わりに、兄弟たち、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、また、徳や賞賛に値することがあれば、それを心に留めなさい。」と多少ありきたりで、諄(くど)い言い回しになっています。

 

2.この世的な「徳」を心に留めよ

 パウロは、この世で通常大切なもの、「徳」と呼ばれているものを尊重し、「心に留めて」「勘定にいれて」生きることを勧めています。「徳」(aretē)は、アリストテレスや当時のストア的民間哲学でいう道徳的な素晴らしさを意味しており、ギリシヤの倫理思想において大切にされていました。

 

.人の大切にしているものを尊重すること

 キリスト者は福音の喜びを知り、真理を知らされていると言っても、他者が尊重するものをくさしたり、冷笑する必要はないでしょう。確かに、キリスト者の価値観・世界観と日本社会の価値観・世界観とはかけ離れており、イライラし、悲しく、孤立感が深まります。しかし、それに囚われる必要はありません。「もしもキリスト者が、妙なクリスチャン風を吹かせて宗教や信仰を異にする隣人同胞たちの倫理観を逆撫でする言動に走り、自分にだけ特別な自由を容認するような特権的態度をとるとすれば、それは到底、真のキリスト者の取るべき道とはいえないのである。」(NTD)きついですが、大切な忠告です。

 

4.福音を生きる

 キリストを通して神にこよなく愛され、赦されている私たち、この世のものではないが、この世に生きている私たちは、どのように生活したらよいのでしょうか。「実行せよ」と命じられているのは、「(パウロ)から学んだこと、受けたこと、(パウロ)について聞いたこと、見たこと」、つまり、イエス・キリストを通して明らかにされた「福音」の喜び、その福音に応答して生きることが重要なのです。

 

5.約束:「平和の神のインマヌエル」!

 パウロは、「そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます。」と約束しています。これをキリスト者同士の挨拶の言葉にできたら幸いです。(松見 俊)