1: 心を合わせた祈り
弟子たちは、「オリーブ畑」と呼ばれる山からエルサレムに戻ってきました。弟子たちはエルサレムで心を合わせて熱心に祈ったのでした。これはイエス様からの命令です(1:4-5)。
この時の場所は、「泊まっていた家の上の部屋」とされますが、「上の部屋」は、神様と向き合う場所「山」や「荒野」と同様の、普段の生活から切り離された神様と向き合う場所を意味しています。イエス様が地上におられた時の弟子11人と、婦人たち、そしてイエス様の家族とが心を合わせて熱心に祈っていました。このときの弟子たちの中には、どのような思いがあったのでしょうか。イエス様との伝道の日々、十字架、復活。一つひとつを思い起こして、熱心に祈っていたのではないでしょうか。
2: ペトロの演説
ペトロは16節から演説を始めます。その内容は、ユダの裏切りについて、そしてユダの代わりのもう一人加わるための演説でした。ユダの裏切りは、神様の意志、聖書の言葉の中でなされた出来事であり、「実現しなければならなかった」(16)とします。
18節の表現は、犯罪者や悪人などの悲惨な最期を描くときの表現方法の一つです。同時に、この悲劇的な出来事もまた神様の計画の中にあったことだとするのです。この演説からわかるのは、初代教会において「ユダの裏切り」という出来事が大きな影を残し、大きな問題となっていたということです。
3: 使徒
ユダの代わりに、もう一人を選び出します。21-22では使徒の一つの定義が語られているとされます。使徒とはイエス様の出来事を確実に報告ができる目撃者【ヨハネの洗礼のときから始まって、わたしたちを離れて天に上げられた日まで、いつも一緒にいた者】(21)そして、それは12人である、それが使徒だとしているのです。この使徒としての定義はパウロの定義とは異なります。
4: マティアの選出
祈りのうちにくじによってマティアを11人の使徒の仲間として加えます。「バルサバと呼ばれユストともいうヨセフ」は、バルサバは「安息日の子」、ユストは「正義の人」というあだ名がありました。この「バルサバと呼ばれ、ユストともいうヨセフ」の方が人間の目からすれば評判が良かったと考えられるのです。
人々は使徒を選び出すために二つの方法をとりました。まず自分たちで二人を選びだし、そのうえで「くじ」で使徒の選出を行いました。二つの方法を行うことで、自分たちが責任をもち選びだした上で、神様からの選びを求めたのです。この二つの選びによって選ばれた者が使徒マティアとなったのです。使徒マティアは「主の復活の証人」(13)として加えられたのです。(笠井元)