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2019.12.25 「エルサレム教会がいただいた恵み」 使徒言行録11:1-18

1:  割礼を受けている者たちによる非難

 今日の箇所の前提に、ユダヤには異邦人との交わりの禁止という律法がありました。(使徒言行録10:28)ペトロはその中でコルネリウスのもとに行き、彼らにバプテスマを授けたのです。11章は、その話を聞いた、使徒たちとユダヤにいる兄弟たちの反応から始まります。

 エルサレムにいた、使徒たち、ユダヤにいる兄弟たちは、ペトロが割礼を受けていない者たちと一緒に食事をしたことを非難したのです。このことは使徒15章の使徒会議においても話し合われていくことになります。ガラテヤ書ではペトロの違う姿を見ることもできます(ガラテヤ2:11-12)。

 

2:  ペトロの気持ち

 ペトロは喜びの中で、エルサレムに帰っていったと想像できます。ペトロは、自分の思いを越えた神さまの働きを受けたのです。この喜びを分かち合うためにエルサレムに帰りました。しかし、エルサレムの兄弟は自分を非難してきたのです。これも当然の反応です。本来熱血な性格のペトロですが、この反応も予測していたではないかと思うのです。そして、【「ペトロは事の次第を順序正しく説明し始めた」】(10:4)のです。

 ペトロは、悲しみや怒りの中にあって怒りをぶつけるのではなく、丁寧に話し始めたのです。どうして異邦人、割礼を受けていない者と一緒に食事をしたのか、説明したのです。ここに、問題が起こったときに、冷静に話し合うことの大切さを教えられます。

 

3:  神様からの恵みの大きさ

 そのうえで、ペトロの人格的素晴らしさではなく、神様から頂いた恵みの大きさを見たいと思います。神様はペトロの心を恵みで満たしてくださったのです。ペトロは、その偉大な恵みを前にして、恵みを共有をすることを選んだのでした。

 ここに神様の導きを見ることが出来ます。神様がペトロを突き動かしていったのです。この時の主人公は、ペトロでも、コルネリウスでも、使徒たちでもだれでもありません。神様です。神様がペトロを動かし、またコルネリウスをも動かし、異邦人伝道が始められました。

 

4:  エルサレム教会のいただいた恵み

 人々は神様の働きを賛美しました。一番の恵みをいただいたのは、ユダヤにいる兄弟、つまりエルサレムの教会の人々ではないでしょうか。人々は、割礼を受けていない者を受け入れることができていなかったのです。しかし、ペトロとコルネリウスの出来事から、神様の御業を受けて、神様を賛美する者とされたのです。(エフェソ2:13-16)

 これまで使徒言行録では人々の悔い改め、回心を伝えてきました。サウロ、コルネリウス、異邦人たち・・・この回心、悔い改めが、教会という信仰共同体の悔い改めを与え、新しい道を与えていきます。一人の人間の悔い改めが共同体の新しい道を開いていくのです。異邦人の回心は、エルサレムの教会の人々を悔い改めに導いたのです。(笠井元)