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2020.8.26 「いったいお前たちは何者だ」 使徒言行録19:11-20

1. 神の御業としての奇跡

 今日の箇所では、パウロによって目覚ましい奇跡が行われたこと、同時に「イエスの名」によって裸にされ、傷つけられた者たちが現れたことについて語るのです。多くの奇跡は、パウロの手ぬぐいや前掛けに触れるだけでも病気は癒され、悪霊も出ていくほどでした。

 この奇跡はパウロの力によるものではありません。マザー・テレサは「わたしは神様の手の中の小さな鉛筆にすぎません。神様が考え、神様が書くのです」と言いました。人間がどれほど大きな奇跡を起こしたとしても、それは神の御業です。イエス様はゲッセマネで「わたしの願いどおりではなく、御心のままに」と祈りました。イエス様は、とても大きな信仰の決断です。神様の御心のままにと決断したのです。

 パウロの奇跡も自分の自己実現、名声、権威のために起こされたものではないのです。神様の奇跡は神の御業として起こされるのです。

 

2. 自分のためにイエスの名を唱える者

 それに対して、「各地を巡り歩くユダヤ人の祈祷師たち」「ユダヤ人の祭司長スケワという者の七人の息子たち」が、悪霊に取りつかれている人々に向けて、【試みに、主イエスの名を唱えて、「パウロが宣べ伝えているイエスによって、お前たちに命じる」と言】(19:13)ったのでした。このユダヤの祈祷師たちとは、悪魔祓いとして様々な国々をまわり、高い報酬を得ていたにです。神様の御心が行われるためにイエスの名による奇跡を行うパウロと、自分のためにイエスの名による奇跡を起こそうとしたスケワの息子たちなのです。

 

3. お前は何者だ

 悪霊はこのように言い返したのです。「イエスのことは知っている。パウロのこともよく知っている。だが、いったいお前たちは何者だ。」(19:15)「いったいお前たちは何者だ」。私たち自身は、この問いにどのように答えることができるでしょうか。

 長老教会が作成した信仰問答では「あなたはだれですか」という問いに「わたしは神様のこどもです」と答えています。「お前は何者だ」という問いは「あなたは何のために生きているのか」ということが問われているのです。悪霊の問いかけ、人間にとっての困難や苦しみは、時に私たちの心の底にある本当の思いを明るみに出していくのです。

 

4. 信仰に入る者

 この出来事を通して、多くの人々が主イエスの名をあがめ、信仰に入ったのでした。信仰に入るとは「お前は何者だ」と問われたときに「キリストを頭とした、神の子です」と答えるようになることです。その象徴として、人々は多くの魔術の書物を焼き捨てたのです。これまでの自分との決別、キリストに従い生きる信仰者として生きる決断の姿を見ることができます。

 信仰とは、一度の大きな決断であり、日々の生活における数多くの決断もあります。私たちは完全な者となったわけではありません。「いったいお前たちは何者だ」という問いにどのように答えることができるのか考えていきましょう。(笠井元)