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2020.12.30 「フェリクスの前での弁明」 使徒言行録24:1-27

1. 大祭司アナニアによる政治的告発

 アナニアは長老と弁護士テルティロを連れて総督フェリクスにパウロを訴え出たのです。内容は、①パウロは世界中のユダヤ人の間で騒動を引き起こしている「ナザレ人の分派」の主謀者である②神殿を汚そうとしていた、ということを訴えました。テルティロは神学的論争ではなく、政治的問題として、この者はローマの秩序を破壊する者であると告発するのです。

 21章にあるように、当時エジプト出身のユダヤ人が社会的に騒動を起こしていたのでした。テルティロはパウロは、そのエジプト人のようにローマ帝国において騒動を起こす者の一人だとして訴えているのです。

このパウロの姿は、イエス様が十字架につけられていく姿と同じような姿として見ることが出来るのです。政治的に訴えられていくという形はルカの特徴であるとも言えます。

 

2. 死と隣り合わせの弁明

 パウロは10節から弁明を行います。この弁明は、死と隣り合わせでした。大きな権力をもつローマ・カトリックに対して意見したルターも「死」や「危険」」と隣り合わせに歩き続けるときに、希望を失いかけたこともありました。パウロがここで雄弁に語る姿に神様の働きを見るのです。

 

3. パウロの信仰

 パウロの弁明の内容は、①エルサレムに来てから12日しかたっていないため群衆を扇動してはいない②証拠がないということを訴えます。パウロはローマ帝国に対する政治的転覆を企ててはいないことを訴えるのです。

 14節からは信仰的なことを話します。(1416)自分はこれまでのユダヤ人の教えから特別離れた教えではなく「神様に対しても、人に対しても、責められることのない良心を持ち生きている」ことを主張するのです。またパウロの弁明は復活信仰という、現在においてもとても重要な信仰告白です。

 

4. 神殿を汚す者

 テルティロはパウロが神殿を汚したことを訴えます。この訴えは、政治的告発ではなく、宗教的な告発となります。この訴えは神殿につながるサドカイ派の人々がローマの高官とつながっていたからだとされます。

 

5. フェリクスとドルシラ

 

 フェリクスは、すぐに判決を下さず裁判を延期しました。フェリクスはパウロからお金をもらおうとする下心があったとされます。24節にフェリクスの妻ドルシラが登場します。ドルシラとは、このあと登場する、総督フェストゥスの妹です。フェリクスとドルシラの結婚は倫理的に問題のあるものとされます。バプテスマのヨハネは、ヘロデ・アンティパス、へロディアという同じような問題を持つ二人に正義を語ることによって殺されました。パウロは政治的権力者に恐れることなく同じように命の危険を犯してまでも、神様の真理を語ったのです。(笠井元)