１：　闇の中で

今日の箇所はイエス様を捕えていく場面となります。これは夜の出来事でした。夜とは、時間的なものとしてはもちろんですが、イスカリオテのユダの心の中を表しているものとして読み取ることができます。イエス様を裏切り、売り渡す時、ユダの心は闇の中を歩きだしていたのです。　

２：　いつもの挨拶　誘惑

ユダを引きずりこんでいった「闇」は別の言葉で言えば「誘惑」ということができるでしょう。誘惑は人間が神様から離れるために働くのです。ユダは、イエス様を捕えるための合図として挨拶、接吻しました。これは日常になされていた挨拶でした。ユダは日常の行為を通して、イエス様を裏切っていったのです。私たちの何気ない日々の営みの中に、神様を裏切る行為がある。そして闇に引きずり込んでいく誘惑があるのです。

３：　神様に求めているもの

私たちは、日々、神様にいったい何を求めているのでしょうか。ご利益宗教では、人間は、神様に、この世の人間的利益を求めているのです。その思いが閉ざされるとき、神様に不満を持ち、不信仰へと向かっていくのです。イエス様はユダに裏切られ、無力な者として捕らえられていったのです。私たちはこの世において無力に見える神様を信じることができるのでしょうか。

４：　「友よ」　裏切りを受け入れられたイエス

　イエス様はこのユダに対して、「友よ、しようとしていることをするがよい」と答えられたのです。イエス様は変わることのない言葉、変わることのない愛をもって答えたのでした。私たち人間がどれほど、神様を裏切ったとしても、どれほど罪に溺れても、イエス・キリストは変わることはないのです。神様は、この世で無力で弱い者として来られました。そのことを通して、私たちと共に生きる者となってくださったのです。

５：　御心の実現

　ユダの裏切りは誘惑に引きずり込まれていった人間の罪の姿です。しかし、神様はその人間の罪をも受け入れられ、自らの御心の実現の出来事と変えられていくのです。神様は、ユダの裏切りをもって変わらぬ愛の出来事を実現されていったのです。

　神様は、私たちのすべてを受け入れ、すべてを神様の御心の実現へと向かわしてくださるのです。この神様の変わることのない愛、無限の愛を感謝して受け入れていきましょう。（笠井元）