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2022.4.10 「深い断絶に橋をかける」(要約)  マルコによる福音書14:32ー42

季節は春爛漫。初夏の先取のようですが、教会カレンダーは、棕櫚の主日、受難週入りです。15日(金)が受苦日です。レントの最後の週をキリストの苦難を覚えて過ごしましょう。今朝はゲッセマネの祈りの箇所を取り上げ、主イエスの祈りの格闘の中で何が起こっていたのかに焦点を合わせます。

1.目を覚まし、祈りの中で主なる神の救いの業を見ていること

 ヘブライ人を抑圧し、奴隷として使っていたエジプトの地から彼らを脱出させた神は、その日の出来事を記念して、「イスラエルの人々が、エジプトに住んでいた期間は430年であった。430年を経たちょうどその日に、主の部隊は全軍、エジプトの国を出発した。その夜、主は、彼らをエジプトの国から導き出すために寝ずの番をされた。これゆえ、イスラエルの人々は代々にわたって、その夜、主のために寝ずの番をするのである。」(出エジプト12:4042)と言われます。恐怖と絶望の中で、眠れぬ夜を過ごす「難民」のために、主なる神は、この晩は「寝ずの番」をされたのです。寝ずの番を頼まれた、ペトロ、ヤコブ、ヨハネは眠りこけています。しかし、イエス様だけが目を覚ましておられ、ご自身がご自身の証人となられたのです。

2.あまりにも苦い杯

 主は、「できることなら、この苦しみの時が御自分から過ぎ去るようにと祈り、『アッバ、父よ、あなたには何でもおできになります。この杯をわたしから取りのけてください。』」と祈られました。沈黙は1)意志疎通がなされていないか、2)意志は分かっているけれど拒絶して無視しているか、3)沈黙こそ答えであることを意味しているのでしょう。父なる神は、「子よ、忍んでくれよ!」と沈黙の中で、声にならない声で、言われているのでしょうか。父との断絶、深い溝が、裂け目がそこに広がっていました。あまりにも苦い杯でした。

3.しかし、御心が行われるように

 しかし、主イエス様はさらに祈ります。「しかし」! この「しかし」が重要です。「しかし、わたしの願うことではなく、御心に適うことが行われますように」。

4.神が神と格闘しておられる 「アッバ、父よ」神理解の徹底的変革

 イエスは人間的に弱いので苦悶しているのではないのです。徹底的に人間の側に、弟子たちの側に立ち、神から捨てられ、深い断絶を味わっておられる。36節でイエスは「アッバ、父よ」と祈ります。つまりここでは神はみ子イエス・キリストの父として、同時に、父の子としての神キリスト・イエス、そして、両者を結び、私たちにその交わりをもたらす聖霊の神として現わしておられます。

5.「霊においてはやっても肉は弱い」

6.「立て、行こう!」

 

 格闘の祈りを終えた主イエスは力強く言われます。「立て、行こう。見よ、わたしを裏切る者がきた」。41節の「引き渡される」はキリストの受難を表現するキーワード、「立て」は死者の中から「引き上げられる」、復活の表現言語です。さあ、皆さん来週はイースターを喜び迎えて共に礼拝しましょう。来週の復活祭に向かって、「立て、行こう!」(松見俊)