１：　　全体の内容から理解する　

ここでは、イエス様がシモン・ペトロに「網を降ろし、漁をしなさい」と言われ、それに従い網を降ろすと網が破れそうなほどの魚を得たという奇跡の物語があります。このような、奇跡的出来事が記された箇所は、その部分だけに目を向けてしまい、全体の内容の意味を忘れてしまうことがあるのです。今日は、この箇所から奇跡的出来事だけではなく、イエスの行われた行為、語られた言葉に注目し、見ていきたいと思います。

２：　　厳しい現実

　ペトロたちは夜通し漁をしても、どれだけ努力しても、ダメな時はダメ、その日の糧すら、危ぶまれる厳しい現実に直面していたのでした。厳しい現実に直面することは私たちにも多々あるのです。自分の努力では、どれほど頑張ってもうまくいかないことが私たちの人生においてもあるのです。

３：　　福音を聞くために与えられた魚

イエス様は「網を降ろし、漁をしなさい」と言われました。プロの漁師であるペトロにとって、この言葉は漁師としての知識や経験の上では、全く理解できないものだったでしょう。このイエス様の言葉をどのように受け取るのかは、ペトロにとって一つの決断の時でした。自分の常識で生きるのか、それともイエス様の言葉に聞き従うのか、まさに決断のときでした。ペトロは、主イエスの御言葉に聞き従いました。そして、ペトロに多くの魚が与えられた。それは、疲れから解放され、イエス様のみ言葉を福音として聞いていくために与えられた、多くの魚であったのです。

４：　　福音を聞くための準備

ペトロたちは、まったく魚を得ることができなかった後、それでもまた次の漁のための準備をしていたのです。私たちも、日々の生活の中で、主イエスのみ言葉、救いの出来事を聞くための、その準備が必要だということを教えられるのです。私たちにとっての、福音を聞く準備とは、一体何でしょうか。私たちがなすべき準備は、このように教会に共に集まり礼拝をすること。共に、神様のみ言葉を聞き、共に祈り合うことと言うことができるのではないでしょうか。

５：　　イエスを主とする

ペトロは「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」（5:8）と言いました。ペトロは、イエス様を自らの主と告白しました。ペトロが頂いた本当の恵みは、多くの魚ではなく、イエス様を主とする神様の救いです。ペトロたちは心の中心にあった様々なものを捨て、イエス・キリストを自らの主として、迎え入れたのです。私たちもイエス・キリストを心に迎え入れ、自らの主と告白していきたいと思います。（笠井元）