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2022.11.6 「隔たりを越えて来られるキリスト」(要約) ルカによる福音書5:12-16

1:  全身が重い皮膚病の者

 当時のユダヤ社会において重い皮膚病の人は「汚れた者」とされ、「社会に関わること」を拒否され、孤独に生きていたのです。今日、登場した人全身が重い皮膚病とされています。「全身」という言葉は、体のすべてという意味に加えて、人間としてのすべて、その心も含めた存在のすべてが否定されていたのです。これが、全身重い皮膚病にかかった者の現実でした。

 

2:  差別のなくならない社会 

この時、全身が重い皮膚病になっていた者は大きな差別を受けていました。それから2000年以上経った今は、そのような差別はなくなったでしょうか。現在も、人種差別、性差別、障がい者への差別、宗教による差別、階級や学歴、職業による差別など様々な差別があります。日本では、憲法の14条において差別的な扱いをすることを禁止しています。それでもこの社会で差別はなくならないのです。差別とは、人間が、自分よりも弱い者を作り出し、その存在、人格を否定していくこと。共に生きるのではなく、孤独な者を作り出していくことです。

 

3:  隔たりを越えて来られたキリスト

 この重い皮膚病にかかっている人に、イエス様は手を差し伸べられ触れられました。この重い皮膚病にかかっている人とイエス様の距離はどれくらいあったのでしょうか。物理的には、目と鼻の先ですが、この人には決して越えることのできない隔たりがあったのでした。イエス様はこの越えることのできない隔たりを越えて来てくださったのです。ここに神様の愛が示されたのでした。

これはイエス・キリスト自らが傷つき、痛みを伴う行為です。イエス様は命をかけて私たちを孤独から解放してくださるために、手を差し伸べて下さったのです。

 

4:  生きる道が造られた

「よろしい。清くなれ」とイエス様は語られました。「よろしい」は、別の訳では「私が意志する」と訳されます。イエス様は、この人が清くされ、癒されることを意志したのです。全身が重い皮膚病とされた者は、このイエス様の意志と業によって清くされたのです。それは、人間として生きる意味、存在の意味を与えられたのです。

 

5:  恵みの律法に従い生きる

 

イエス様は、これまで自分を苦しめ、自分の存在を否定し続けた社会の根底にあった律法。その教えに従うように教えられたのです。イエス様は差別する人々に、本当の意味での律法の理解をすること、神様が愛してくださり、その愛を受け取るためにある教えとして受け取ることを願い続けられているのです。私たちのために手を差し伸べてくださるイエス・キリストによる愛、共に傷つき、共に生きて下さる神様の愛を頂きましょう。(笠井元)