今年の子ども祝福礼拝は小学生がいないので、中高生たちに贈る言葉を考えました。彼らにとって良い言葉は、歳をとった人に重要な言葉でしょう。今日は、ヘブライ語聖書における四つの大切な言葉;慈愛・公平・正義そして真実について考えてみます。人として大切にしたい、大切にして欲しい四つの言葉です。「主はこう言われる。知恵ある者は、その知恵を誇るな。力ある者は、その力を誇るな。富ある者は、その富を誇るな。むしろ、誇る者は、この事を誇るがよい。目覚めてわたしを知ることを。わたしこそ主。この地に慈しみと正義と恵みの業を行う事。その事をわたしは喜ぶ、と主は言われる。」(エレミヤ9:22-22)
1.預言者エレミヤ:エレミヤは、紀元前626年当時のヨシヤ王の時代に神からの召しを受けました。まだ若い頃でした。ヨシヤ王も若く、宗教改革を志しました。しかし、ヨシヤがメギドで戦死すると、イスラエルの政治・社会は混乱して、パレスチナの南西部に位置する超大国エジプトにつくか、あるいは東北部に位置するチグリス・ユーフラテス河で力を持つアッシリヤ・バビロニヤ帝国につくかで右往左往したのです。エレミヤはイスラエルが戦争に敗けて滅ぼされることを予見し、その戦争を避けるためにバビロニアに降伏すべきことを語ったのです。エレミヤは「売国奴」として非難されます。
2.適切な歴史観の中で生きること:韓国元大統領の金大中の言葉。紀元前7世紀を挟む数百年をカール・ヤスパースはAxial Ages(基軸的時代)と呼んでいます。貧富の差の拡大、略奪、戦争、社会的不正に直面し、人は何のために生きるのかを問い始めたのです。
3.主なる神に立ち帰ること
さらに、「目覚めて主なる神を知ること」について考えてみましょう。原語では「賢くあって」という意味で、空しい「誇り」に対立する言葉です。「神を知ること」こそ「賢さ」であり、「賢さ」とは「神を知ること」なのです。エレミヤ4:1-2には「真実と公平と正義」という生活基準が登場します。
4.神を知らされている者の生き方 :この地に慈しみ・愛(ヘセド)と正義(ミシュパート)と義(ツェデカー)と真実(エメト)を行うことです。
実は、慈愛・公平・正義・真実は主なる神ご自身とそのなせる行為のことであって、私たちには到底達することのできないことなのかも知れません。私たちはほんの少しそれらに与らせていただくのでしょう。(松見俊)