1: 二つの癒し
ユダヤの会堂長ヤイロがイエス様のところへとやってきて、自分の会堂長という立場や、プライドも、何もかも捨ててイエス様にひれ伏して「娘のところに来て下さい」と願ったのでした。イエス様はヤイロの家に向かいました。その時に別の出来事が起きたのです。12年も出血が止まらない女性がイエス様の服の房に触れたのです。ユダヤの律法では出血が止まらない状態の女性は汚れているとされていました。この後、ヤイロの娘が一度亡くなりましたが、死んだ者に触れることもまた「汚れた者」とされることでした。イエス様はこの二人の女性の存在を認め、癒されたのです。
2: イエス様の言葉
イエス様は、イエス様に触れた女性に向けて、「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。」(48)と言われました。女性が行ったことは、ただイエス様にすがりつくことだけでした。この女性は小さな一歩をイエス様に向けて歩き出したのです。イエス様は、この女性を受け留められたのです。イエス様は、娘が亡くなったという報告を受けたヤイロに「恐れることはない。ただ信じなさい。そうすれば、娘は救われる。」(50)と言われました。ヤイロは娘の死を突き付けられ、絶望したのです。そのヤイロにイエス様は「ただ信じなさい。」と言われたのです。
3: 手を差し伸べてくださる方
出血の止まらない女性と、会堂長ヤイロの娘は、どちらもユダヤの律法では触れてはいけない存在でした。そのような者にイエス様は手を差し伸べて触れてくださったのです。出血の止まらない女性の方は、自分からイエス様に触れたのです。ヤイロの娘は、死に飲み込まれた中でイエス様の方から触れてくださったのでした。イエス様は「助けて欲しい」と願う者が触れることを許され、また、もはや触れることすら出来なくなった者に、自ら触れてくださるのです。これがイエス様が共にいてくださるということです。手を差し伸べることで、自らが傷つき、苦しんだとしても、イエス様は私たちの隣に居続けてくださるのです。
4: イエス様にすがりつく
ヤイロも出血の止まらない女性も、目の前に広がるのは絶望でしかないと思う中、それでもイエス様の前にひれ伏し、「助けてください」と願ったのです。一歩イエス様に向かって歩いたのです。そのすがりつく一歩によって、二人は、イエス様から、新しく生きる命を与えられ、新しく生きる道を示されたのです。イエス様は私たちに「諦めずに祈りなさい」、「必ず私があなたと共にいる」と言い、手を差し伸べてくださるのです。私たちはイエス様に何度でも「助けて」と叫び求めていきたいと思います。(笠井元)