1: すべての人に向けられた福音
イエス様は72人を派遣されました。この72人という人数は、創世記10章のノアの系図の影響を受けた数字と考えられています。ノアの系図は世界のすべての諸民族、全世界の人々を意味する象徴的な言葉とされています。ここで72人が派遣されることは、イエス様の福音が全世界のすべての人々に向けられていることを意味するのです。イエス様の福音は「平和があるように」「神の国が近づいた」と、迎え入れる人に対しても、迎え入れない人に対しても、言葉を変えることなく伝えることが教えられています。神様の愛はすべての人に開かれている。すべての人に伝えられるべき言葉なのです。
2: 収穫は主が行われる
イエス様は「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。」(ルカ10:2)と言われました。収穫するのは「主」、神様です。福音を宣べ伝えても迎え入れられない場合に、自分の無力さに落ち込むのではなく、いずれ来る収穫の主に委ねていきたいと思います。
私たちのすべきことは、ただ頂いた神様の愛をすべての人に同じように伝えることです。その後、どれだけの人が、その愛を受け入れるかどうかということは、神様の範疇となります。私たちは、自分の働きによって、誰かが福音を信じたからといって誇ることもできないし、また、誰も神様の愛を信じないからといって、自分のことを否定する必要もないのです。私たちができることは、精一杯神様の愛をすべての人に伝え続けることです。
3: 平和があるように
イエス様は「平和があるように」と言うようにと教えられています。ここで言う「平和」とは、ただ争いがないことだけを意味するではなく、神様と人間、人間と人間が正しい関係に生きることを意味しています。この世にあって、人間が、ただお互いに向き合うだけの関係にあるとき、お互いの欠点や弱さばかりが見えてくるものです。私たちは、お互いに目を向ける前に、共に神様の愛に目を向けていきたいと思います。
神様の愛によって繋げられた関係は、イエス・キリストの復活、新しい命によって作り出されていくのです。愛されている恵みを頂き、新しい命に生きることによって、平和を造り出す者と変えられていくのです。イエス様は「平和があるように」と伝えていくようにと、私たちを派遣してくださっているのです。(笠井元)