1: ナオミ(快い)からマラ(苦い)へ
ナオミは、ベツレヘム出身の女性でした。夫エリメレクがおり、マフロンとキルヨンという二人の子どもがいたのです。ただ家族4人でモアブの地に移り住んだ後、夫エリメレクが死に、その後二人の息子も死んでしまったのです。当時、男性が先立つことは働き手を失うこととなり、残されたナオミは生きる力を失ったということを意味しているのです。そしてナオミは嫁のルツと一緒にベツレヘムに帰ってきました。このような状態であったナオミは、女性たちに「もはや、ナオミ(快い)などと呼ばないで欲しい。むしろマラ(苦い)と呼んでください。」と言い「主がわたしにひどいことをして、わたしを不幸に落とした」と言ったのです。
2: ルツという存在
この世では、私たち人間には到底理解ができないような悲しく、苦しいことが起こされます。苦しみの中でナオミの隣にはルツがいました。ただ、ナオミにとっては、ルツが隣にいても生きる苦しさは変わらなかったのです。またルツの立場を考えるとルツ自身にとっては大きな決断によるものでした。ルツはナオミについていくという道を選んだのです。ここにはナオミを一人にすることはできないという、ルツの大きな決断がありました。
3: 生き返る魂
今日の箇所は、そのナオミの魂が生き返らされていく場面です。この時あったのは、新しい命の誕生という神様の御業です。この出来事は、ルツがこれまで共に歩み続けてきた中で起こされた神の御業なのです。このことを通してナオミはルツという存在に出会ったのです。いつも、自分の隣にいて、慰めてくれていた人がいたことに気が付いた時に、ナオミは絶望から連れ戻され、生きる者と変えられたのです。
4: イエス・キリストの誕生
ルツの子としてオベドが生まれ、オベドからエッサイが生まれ、エッサイからダビデが生まれました。そしてダビデの子孫としてイエス・キリストはこの世に生まれました。イエス・キリストは、このルツの子孫として、魂を生き返らされる者としてこの世に来られたのです。神様は、すべての人間のために、イエス・キリストをこの世に送ってくださいました。この決定的な神の御業によって、人間は、魂の安らぎ、回復を頂く者とされたのです。
5: 誰と共に生きるのか
ルツはモアブ人、つまり異邦人でした。神様は人間となられました。弱く、不完全な者と共に生きる者となられたということです。ルツは、モアブ人でありながらも、ナオミというユダヤ人と共に生きたのです。私たちは自分が誰と共に生きるべきなのか考えていきましょう。(笠井元)